パッシブ運用に外債は不要か必要かを考察してみる

 インデックスブログ界の第一人者、水瀬ケンイチさんは、外債のウェイトを縮小し、撤退も視野に入れておられるそうです。

 その根拠として、為替は長期的に購買力平価に依存し、高金利の外債は為替レートの修正を通じて日本債券と同水準のリターンしか期待できない一方、為替リスクでリスクが増幅されていることから、外債を長期保有することは同じリターンをより高いリスクで求めることになり、経済合理性に欠けることを挙げておられます。

 水瀬さんのお考えは下記の記事に詳しく書かれています。
 http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-1765.html

 これについては、水瀬さんと共著のある山崎元さんも同様のご意見をお持ちです。

 さて、そこで私のポートフォリオを見てみると、債券セクター内での70%は外国債券です。
 長期投資を前提とするパッシブ投資の場合、外債はポートフォリオに組み込むべきではないのでしょうか。

 惟うに、buy and never sell を前提とするならば、必ず高金利による利益を吹き飛ばす為替差損が発生するという理論は妥当のように思われます。

 しかし、私の考えるパッシブ投資では、定期的にアセットアロケーション調整のための利食い・損切を行うものであるため、buy and never sellは想定していません。

 そこで、アセットアロケーション調整のため、定期的に売買を繰り返す前提でどうなるかを考えてみたいと思います。

(前提条件)

①景気変動の前提

・好景気→停滞→不景気→停滞→好景気…・という、好景気と不景気の間に停滞が挟まるサイクルで1年単位で景気変動が生じるものとする。

②株式リターンの前提

・株式は日本を除く全世界の時価総額に応じた分散とし、すべて外貨建てであるとする。
・株式の期待リターンを5%、リスクを±20%とする。
・株式のリターンは、好景気の年は25%、停滞の年は5%、不景気の年は-15%とする。

③債券リターンの前提

・債券は本債券・外国債券とも残存年数10年の割引債から構成されているファンドであるとする。このファンドでは、毎年年末に残存期間10年の割引債を購入して一年間保有し、翌年末に残存期間が9年となった手持ちの割引債をすべて売却し、改めて残存期間10年の割引債を買いなおしているものとする。
・日本・外国とも、10年債金利と9年債金利の差は無視できるほど小さいものとする。
・10年債の市場金利は、日本・外国とも、「物価上昇率+1%」で形成されるものとする。

④物価上昇率及び為替レートの前提

・日本の物価上昇率は、好景気0.5%、停滞0%、不景気-0.5%とする。
・外国の物価上昇率は、好景気3%、停滞2%、不景気1%とする。
・為替レートは、好景気のときは購買力平価に対して15%円安、停滞のときは購買力平価、不景気の時は購買力平価に対して15%円高になるものとする。

⑤ポートフォリオとリバランスの前提

・株式60%、債券40%のポートフォリオを想定し、毎年年末にリバランスするものとする。
・スタート時の元本を10,000千円とする。
・リバランスの際の取引費用および税金は考慮しない。
・債券は①すべて日本債券②日本債券3割、外国債券7割の2通りを想定する。

以上の前提を踏まえて、ポートフォリオに外国債券を入れる場合と入れない場合で資産総額がどう推移するかをエクセルで計算してシミュレーションしてみました。

画像


その結果、上記の前提の場合、外債を組み入れたほうが資産残高は高くなる模様です。
もちろん、前提条件が非常に単純化されていて、現実にはこのようなシミュレーション通りにはいかないでしょう。
しかし、上記のシミュレーションでは、「高金利通貨の為替が好景気の時過大評価され、不景気の時に一気に暴落する」というプロセスを組み込んでいますので、「高金利通貨の高い金利はいずれ為替差損で吹き飛ばされる」という前提を織り込んでいます。

こうしてみると、「Buy and never sell の場合、外債は日本債券よりリスクが高くリターンが低いから、保有することは経済的合理性を欠く」ということが、「したがって、リバランスを前提とするパッシブ運用に外債を組み入れるべきではない」という結論を常に導くとは限らないということは言えそうです。

どうやら私は外債をポートフォリオに組み込み続けることができそうです。

……とか言ってエクセルシートの計算式が実は間違っていて全然計算結果がおかしかった、というオチもあり得ますから、ご興味のある方はそれぞれご自分の想定でご自分でシミュレーションをなさってみてはいかがでしょうか。

くれぐれも投資判断は自己責任で!!

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